日本人と中国人

思い込みがないか,自分の文化を疑ったことはありますか?

あっぱれ我が娘

 以前(2000年頃)、我が家の娘(小学3年生)がとんでもない事をしでかしたことがある。

そのころ私たちは夫の会社の社宅に住んでいて、毎朝社宅の子供が集まって学校に行くことになっていた。集団登校といって日本独特のものだ。集合場所にはよく係りのお母さんや、ボランティアの母さんが様子を見に来てくれるのだが、そういう中に必ずいるものだ。親切だけどちょっとおせっかいなオバサンが。


「そこ!ちゃんと並びなさい!ほら!ふざけるんじゃない!」


などと常にガミガミとまくし立てている。もう度が過ぎて子供達はびくびくとその人に怯えてしまっていた。しかしある日のこと、よほど気にさわったのだろう、ガミガミ言っているそのオバサンに向かって我が家の娘がいきなり、


「うるさい!」


と怒鳴りつけたのである。娘は反抗的な子ではない。いつもはおとなしくみんなについていくし、大人の言うこともきく。しかしこのとき3年生の小さな子が、そのオバサンに立ち向かったのである。私にはこの娘のようなことはできない。明らかに中国人の夫に似たのだ。


 中国人は負けず嫌いで、非常にプライドが高い。私はこれを皇帝精神と呼んでいる。彼らはまさに、皆が皇帝のように見える。それが生活のいろいろなところに現れている。例えば夫は怖いもの知らずのところがある。相手が偉かろうが、強かろうが、立ち向かっていくのだ。いやむしろ強いものこそ向かっていく。日本人なら相手が強いとわかればあえて立ち向かわないのだが。


 かつて一家4人でドライブしているとき暴走族に出くわしたことがある。旗や鉄の棒をまわしブゥンブゥンとエンジンをうならせ何やらわめいている。私は一瞬にして凍りついた。他の車はさっと速度を落として、そのグループから離れていった。しかし夫は「こういうときは絶対に引かない。」とか言って、いつもと同じように運転していく。それで暴走族に囲まれたまましばらく進むハメになってしまった。まあこれが、恋愛中なら「ああ、ステキ・・・・」ということになるのであろうが、こっちは、もう子供もいるのである。やめてほしい。ただの向こう見ずだ。

 
また会社でふつう日本人は、先輩後輩文化もあって上司のいうことに不満があっても決してそれを口にすることはない。ところが中国人は上司に対しても提案したり意見を主張したりする。中国ではごく普通のことのようだ。


そんな父親譲りの娘の気質が今回の事件をひきおこしたのであろう。それにしてもそのオバサンは死ぬ程ビックリしたに違いない。その後早速クレームの電話がかかってきた。適当に謝りはしたが、心の中では、「よくやった!」と叫んだ。事実その噂を聞いて別の主婦からも「よく言ってくれたわ。」なんてお礼まで言われたのである。彼女も前々からこの人には辟易していたらしい。

親ばかといわれようが私は言いたい。


あっぱれ我が娘よ!