日本人と中国人

思い込みがないか,自分の文化を疑ったことはありますか?

まるで悪者?

私の夫は、よくハンサムだと言われる。そうはいかないまでもたしかに中国の好青年を絵に描いたような人だった(今、見た目はすっかり日本のサラリーマン)。日本の大学を出て、技術者になったようないわゆる優秀なタイプである。ステキな人と結婚できたと心の中でニンマリしていた。


しかし・・・・(1987年)結婚してみると中国好青年が好青年に見えないのである。なぜなら、時々ルールを無視したり、守らなかったりするのだ。例えば、前回のゴミの分別ルールだ。赤信号なども、車がなければ渡ってしまう。また、「~禁止」なんて札は時には無視することもある。そんな彼を見ていると、
 「どうしてそんなことするの?」
と言いたくなってしまうのだ。中国の好青年が一気に悪者に転落してしまったようだ。

あるときこんなことがあった。車で、スーパーに買い物に行ったときのこと、駐車場が入り口と出口に分かれていた。私たちはとても急いでいたのだが、入り口をまわると大変時間がかかってしまう。すると彼は、いきなり出口から、入っていったのだ。
 「え?何するの?」
と叫んだ。おまけにそこには、店員がいて、「お客様、申し分けありません。入り口の方へお回りください。」と丁重に断わられた。もうこれだけでもドキドキである。しかしこれでは、終わらないのである。彼は、澄ました顔して

「そこをなんとか・・・。」

と交渉を始めたのだ。私はハラハラしながら、事の成り行きを見守っていたが、しばらくすると、なんと店員が「それでは、どうぞ。」と入れてくれたではないか。でも私は何か自分が、悪者の共犯者になったような気分だった。


 しかし、後から考えてみると、そうしなければ、次の用事に間に合わなかったし、店員は渋々でもOKを出したのだ。夫の判断に助けられたと言える。


 私たち日本人はルールをよく守る。これは世界に誇っていいことだと思う。日本人が相手だと待ち合わせをしても、お金を払ってもらうことでも、契約に従って仕事を進めていくときでも安心感がある。でもこれは世界の常識ではない。


中国人もルールを守る。しかしその守り方がかなり大ざっぱなのだ。罰金を伴うような法律なのか、本当に必要なのか考え、ときには守らなかったりする。よーく言えば、臨機応変ということになる。


これが私たちの目には、どうしても悪者に映ってしまう。彼らは、これを

「人がルールを作ったのであって、ルールの下に人がいるのではない。」と豪語する。

 

 イヤー。そう言うとかっこいいんだけど・・・・。