日本人と中国人

思い込みがないか,自分の文化を疑ったことはありますか?

パンの耳でヤッター!

昨年(2001年)のことだが、私にとって画期的なことがあった。くじで2等賞が当たったのだ。それが一体何なのだと思われるかもしれないが、私は生来くじ運が非常に悪いので、これはビッグニュースと言ってよかった。


 中国人の夫と結婚したばかりのころ、大陸気質で大ざっぱな夫にいろいろと驚く事が多かった。服装も気にしない、あいさつも気にしない、ルールも気にしない、私の家事も気にしない・・・(コレは助かった)。私としてはもう少し細やかに気を遣ってほしかった。
 逆に夫からいわせれば、私は細かいところに気を遣いすぎるらしい。「そんな細かいこと気にすんな」とはよく言われた言葉である。ただし、私はこれでも日本人の中では大ざっぱなほうなので、中国人の大ざっぱと日本人の細かさのギャップというのは相当のものがあるのではないか思う。


 ところが夫が何でも大ざっぱかというと決してそうでもない。彼を含めて中国人はお金には細かいのだ。人におごるときなどはパーっと使うが、普段はすごい節約家である。日本人も世界では貯金する民族として有名だが、中国人はその比ではない。


 結婚当初(1987年)のことだった。彼が買い物についてきてくれるという。日本の男性は家事に参加しない人がまだまだ多かったので「やっぱり、中国人男性は違う!」と、るんるん気分で出かけた。

ところが、私が買う物にいちいち文句をつける。「それは高い。こっちにしよう。それより向こうの方が安い」と。要するに、節約買い物術を教えたかっただけなのだ。その節約ぶりといったら、細かい、細かい・・・。1円安く買うためにお店を変えたりして、1円のために努力を惜しまない。もちろんこれは、中国の経済事情が関係してくる。日本の物価は中国に比べ高すぎるのだ。中国国内ならば食べ物は安く豊富にあるので、気前良くどっさり買っても大丈夫だが、日本という事情の中で彼らは最大限に節約するのだ。中国人は、世界四大商人の一人というのをこんなとき、実感する。

 というわけで、我が家ではいつもパンを買うときは、なるべく「耳」を買うようにしている。よく30~50円で売っている耳だけをまとめたものだ。(いいパンの耳なので結構おいしい。)ある日、その「パンの耳」を買いに行った。他に何も買わずにそれだけを買うというのは、実は結構根性がいるものだ。恥ずかしくてできない人が多いと思う。そこは中国人の妻暦15年のキャリアがモノをいう。問題なく「パンの耳」だけをゲットした。


 このパン屋でくじのサービスをしていたのだ。親切な店員はパン耳の客にも「くじをどうぞ」と薦めてくれた。何気なく引くと、なんと二等賞が大当たり!賞品は、特製食パン250円也。何だ、そんなものと思わないでほしい。250円の食パンなんて我が家では、買ったためしがない高級品だ。万歳!
 ちなみに店員の「顔」には明らかにこう書いてあった。


 「パンの耳だけで賞品もってくな・・・」ふふ。